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「先輩…っ」
後輩に告白された。
黒目がちの大きな目。ひと房手ですくえば、零れ落ちるだろうほどサラサラの黒髪。
好みだ。
理想を形にしたとは言わないが、歴代の彼女達よりは断然好みだった。
ただし、相手が男でなければ。

男同士のそういうことに免疫がないわけではない。
何の因果か、親友はそれ(一年前から彼氏もち)だったし。
ここが男子校である以上まあありえないとは思わない。嫌悪感もない。
が…いざ自分のこととなると話は別で…。

「あの、さ…」
溜息混じりに呼びかけると、びくっと後輩は震えた。
みるみるうちに大きな目に涙が溜まっていく。
俺は慌てた。
「俺男だよ?」
「知ってます」
即答。まあそうだろうとは思ったが。
「俺…男相手にそういうことしたことないぞ」
「僕もありません。普通に女の子が好きでした」
とりあえず後輩は、男しか興味ない人間でもなければ、手馴れているわけでもなさそうだった。
第一印象通り。
「で、名前は?」